NIKKEI TECHNOLOGY AND CAREER

在宅勤務でチーム内交流するための工夫

日本経済新聞社のAdvent Calendarの6日目の記事です。

日経電子版のプロモーションチームの中川です。プロモーションチームでは日経電子版の良さを多くのお客様に届けし、サービスを使っていただくために、マーケティング戦略の立案、広告配信、キャンペーンの実施、サービス改善施策の立案・実施などを行っています。その中で、プロモーションチームで利用するインフラの開発、業務改善の仕組みづくり、広告制作・配信の担当をしています。

課題

プロモーションチームが所属している部署では新型コロナウイルス感染症流行の影響を受けて、在宅勤務を奨励するようになりました。運用が始まった時期が、ちょうど年度の変わり目ということもあり、4月以降に入社&異動してきた方は、いきなり在宅勤務の状態からチームにジョインすることになりました。

その中で

  • お互いどんな人か知らない状態で業務を進めなければいけない
  • どこにマニュアルがまとまっているか、知らないツールの使い方など、対面だとかけられるちょっとした一言をかけづらい
  • わからないこと、質問したいことが聞きづらい

という今までのオフラインでのコミュニケーションとは異なる課題がでてきました。 また、すでに所属していたメンバー間でも

  • ちょっとした雑談など交流する場が少なくなった
  • 大人数のいるweb会議では雑談しにくい
  • 新メンバーと交流しにくくなってしまった

という課題が生まれました。

解決策?

毎日15時頃に30分のおやつ&雑談タイムを導入

  • おやつを持ってリモート会議室に参加!!
  • ちょっとお話したいなーという人が集まる場所
  • スケジュールが合う人のみ自由参加

これは在宅勤務が始まった頃から約2,3週間くらい実施されました。

おやつタイム

ここで生まれた課題

しかし、このおやつ&雑談タイムは2,3週間で廃止されてしまいました。 原因としては、下記のようなものでした。

  • 自由参加なので常に誰かがいるというわけではなく、参加したら誰もいなかったことも
  • 誰もいないと、ちょっとさみしい
  • 目的なしで集まる雑談って話題が難しい・・・
    • 誰がいるのかわからないとか、何話していいかわからない
    • 仕事であまり関わらない分野の人だと共通の話題がない
    • テーマがあるといいが、わざわざ雑談タイムにテーマを用意するのも・・・趣旨と異なる
雑談

チーム交流を考え直してみる

日常生活を振り返ってみると、そもそも雑談はその時間で作るものではなく、何気ないタイミングで生まれるものだったことを思い出しました。

何故チーム内の交流が必要なのかを、図にして考えてみると、 大目的としては仕事を円滑に進め、チームで大きな成果をあげるため。それを、支えるための一要素としてわからないところ、不安なところを相談して問題が起きないようにするがあります。

また、どういう環境だったら、相談できるかというと

  • コミュニケーションが安心して取れる環境
  • 質問しても大丈夫な環境
  • チームメンバー同士の信頼感がある環境
  • 挑戦して多少失敗しても大丈夫な環境
図解

つまり心理的安全性を上げる必要があるのではないかと考えました。

雑談するから、成果が上がるのではなく、雑談できるほどの心理的安全性があるから、チームでの成果が上がるのです。

とはいっても

  • コミュニケーションが安心して取れる環境
  • 質問しても大丈夫な環境
  • チームメンバー同士の信頼感がある環境
  • 挑戦して多少失敗しても大丈夫な環境

上を全て解決するには範囲が広すぎるので、プロモーションチームのメンバーの需要と課題感を調査しました。調査の結果、漠然とした雑談の場の提供から、目的を持って共通の課題に取り組む場を提供することにしました。チーム内の交流を深め、チーム全体の力を上げるために2つの取組みを行いました。

取り組み1:画像加工講座

プロモーションチーム付近の画像加工に興味がある人に向けて、画像加工講座をリモートで開催しました。

課題

実施するにあたり、プロモーションチームから寄せられた課題は下記のようなものでした。

  • 素材で文字を差し替えるだけとか、簡単なものだったら自分でできるようになりたい
  • やり方や学び方がわからなくて、手を付けられない
  • Sketch? Adobe XD?どうやって使えばいいのかわからない
  • デザイナーさんの範囲と、自分でできる範囲をどう判断すればいいかわからない
ツール

講座の内容

画像加工講座は合計5日間開催しました。理論をまずやるのではなく、Adobe XDで手を動かしてみるところからスタートすることにしました。Adobe XDとは、Adobe社が提供しているプロトタイプ・デザイン作成アプリケーションです。制限はありますが、無料で使うことができます。最初にアプリを扱い、加工する心理的ハードルを下げることにしました。中間の日程で、デザインの基礎の話、日経のブランドデザインガイドラインを読み直す時間を取りました。最後に、実際に実務で加工したものを練習課題としてつくり、上記の課題を解決しました。

  • Adobe XD公式のスターターキットで、触り方を学ぶ(2日間×30分)
  • chot designの内容を読んでデザインの基礎を学んでみる(1日間×30分)
  • 日経のブランドデザインガイドラインを再確認する(1日間×30分)
  • 実務でやったものを、試しに加工してみる(1日間×30分)
課題の例

実施した結果と今後の改善点

この講座で期待されることと、覚えるハードル下げる目的は達成できた

アンケート1

しかし講座の準備が、下記の理由により時間がかかってしまいました。

  • Adobe XDが業務端末で、無料で使えるかなどの調査
  • Adobe XDのチュートリアルで適切なものを選ぶための調査
  • できるだけ業務に近いところまで体験するならどの事例を選ぶかの調査

4日間×30分程度だと定着までできなかった

アンケートを実施した結果30分説明+30分もくもく1時間コースが良かったことがわかりました。受講した人は初めての分野だったので、もう少し説明の時間と手を動かす時間を取ったほうが良かったようでした。 アンケート2

レベル別で開催日を分けても良かった

レベル感が様々なので、一番知りたいことがそれぞれ異なる事がわかりました。開催する前にもう少し事前調査をする、レベル別にわけるなど、カリキュラムを考え直したほうがよいという知見を得ました。 加えて実際に作業が増える時期にもう一回開催したほうが、キャンペーンなどのweb広告に使うバナー制作の知見を更に活かせるのではないかという知見を得ました。

アンケート3 アンケート4

取り組み2:ぷちデータ道場

すでにデータ道場を受講済みのプロモーションチームのマーケターと、今までSQLを書いたことが無い新メンバーに向けて、ぷちデータ道場を開催しました。 データ道場とは、2020年12月3日のアドベントカレンダーでも紹介されていましたが、業務時間内で数ヶ月にわたり、毎週1回3時間程度でデータ分析に取り組む上での基礎を扱う研修です。

この研修が終わった後の課題は、データ道場の機会があっても、継続的に使う、調べることに対して心理的なハードルがあって一歩踏み出せない。分析ツールであるRedashとKibanaを使いこなせるようになりたい気持ちはあるが、どうすればいいのかがそもそもわからなくて手が出せないとのことでした。

図にすると、データ道場を実施されたときは、初心者の壁を超えそうなところまでいける感覚はあるようですが、 課題 しばらく触らない期間があると、クエリの書き方、Redashの使い方を忘れてきてしまった。どの資料を見れば自学できるのかがわからない。社内システムを停止させてしまったらどうしようという心理的ハードルがあるようでした。 課題

そこで私は、「毎日30分間データに触れるもくもく会があれば、自分で調べてみようと思ったり、データを触るのが怖くない、となるのではないか?」という仮説をたてました。日頃からデータに親しむ場として、ぷちデータ道場を実施することにしました。 課題

加えて、石原さんが作成した自学自習でSQLの基礎を学べる問題集をぷちデータ道場内で扱うことで、ぷちデータ道場以外の時間や将来忘れてしまったときにいつでも復習できる環境を作れるのではないかと考えました。

目的

  • プロモの施策を考える時に自分でデータを調べたり深堀りしようと思うことができる
  • 以前行われていたデータ道場の復習ができる機会を設ける
  • 一緒に安全に使えるもくもく会をひらき、データに触れる機会をふやす
  • あくまで教室じゃなくて、一緒に考えて、課題解決や議論ができる場にする

内容

  • 毎回5分程度、揃うまで雑談タイム

    • 最近の大変なこととか
    • 異動してかわったこととか
    • 週ごと&やりたいこと別に課題を設定
  • Progateからスタート。SQLの基本構文と引き出しを増やして基礎から積み上げる(約10日間)

  • 日経のデータでRedashを使って基本構文の復習をする(約5~10日間)

    • 石原さんが作成したSQL問題集をつかって、日経のデータを触る練習をする
    • カラムの内容と、調べ方を重視して共有
    • コピペ禁止、カラムに何が入っているかを理解した上でクエリを書くという修行モードで実施
    • さらにSQLの引き出しを増やしたい人はSQLZOOをやる
  • Kibanaでデータを眺める(約5日間)

    • 電子版から、日経のデータ分析内製基盤Atlasにログが飛ぶ様子を実際に手を動かして見てみる
    • 過去の自分自身のログを参照し、動きの傾向を調べてみる
    • 実際に自分の業務と関係のあるページのアクセスログを調査する
    • グラフを作成し、知見を議論する
課題
  • Redash で自分専用のダッシュボードを作る(約5日間)
    • カラムの中身と調べ方をもう一度復習
    • グラフを作成する
    • 最近の業務と関連する内容を調査する
課題

苦労したところ

レベル差がかなり大きかったので、それぞれに対応するのは準備が必要でした。 SQLの基本からだったら時間内でできますが、質問がたくさん出てくる応用となると一人で対応できなくなってしまいました。

対策として、自分が毎回説明するのではなく、ドリルを作って、わからないところが出てきたら聞くスタイルで実施しました。自分で調査する癖をつけられ、わからないところをスポットで聞くことで更に効率よく進行できる知見を得ました。また、お互い共通のドリルを参照することで、画面を共有して質問する際も齟齬を少なくすることができました。

雑談の時間で心理的ハードルはどこにあるのかと調査したところ、調べ方がわからないところがハードルということがわかりました。

課題

工夫したところ

実施する時に工夫したポイントは下記です。

  • 調べ方や、カラム一覧表の場所は何度も共有
  • コピペを禁止して、わからなくてもいいから写経する制限をつけた
  • 似たようなカラム名がある、毎回同じところを調べている事に気がつく流れを作った
  • わからなくなったら、画面を共有してもらって一緒に見て自分で手を動かしてもらう
  • 実際に自分のログを見てみる
  • クエリのお手本の探し方を共有した
課題

それでも、アンケートではちょっと自信がついたとのことだったので調べ方はもう少し工夫して伝えたほうが良いようでした。

気軽に質問できる環境は需要があることがわかりました、30分位が丁度いいようなので、定期的に質問できる環境をつくると更にトライできる人が増えそうでした。 課題 課題

ちなみに役に立ったと認識された課題は、石原さんが作ってくれた、日経のデータでSQL入門でした。 実践に近い方が、すぐに業務に活かせそうという感覚になるようです。 課題

2ヶ月半ほぼ毎日やりましたが、誰か一人は必ず来てくれたので、癒やしの時間としても需要があったと考えました。

課題

リモートになったからこそのメリット

場所を確保する必要がなくなったのは大きなメリットでした。社内の会議室の予約や移動で時間を取られずにすむことで、心を折られないようになりました。実施する側の心理的ハードルを下げる事ができました。 ネットに繋がれば、どこでも誰でも参加できるため、別チームの人がたまに遊びに来てくれることもありました。 また、毎日開催されるから都合のいいときだけ参加すればOKのゆるい感じで実施できたため、継続して来てくれる参加者がいたのがよかったです。宿題を出さないことで、参加することにハードルを上げないようにしていました。 たとえ1週間来なくても、それぞれの進行ペースにあった課題を出していたこともハードルを下げる要因になったかもしれません。

終わりに

もくもく会は何かできるようになる、習得したい!!という目的で集まることができます。ぷちデータ道場のための時間を予め確保することで、お互いに気軽に相談できる環境を作ることができました。作業開始前に5分ほど雑談する機会を得られるため、ちょっとしたことの相談や誰かへの質問はその場でできる環境になっていました。実はチーム内の交流の機会になっていたようです。 また、内容も「ものすごい脳みそを使わずにゆるくできる」くらいでちょうどよいことがわかりました。主催者は絶対いるので一人にならず、毎日誰か一人以上絶対来ており継続的に2ヶ月半毎日実施することができました。 緊急事態宣言の最中、新しい環境で新しい働き方をするなかで、仕事を円滑に進めるために、リモートならではの取り組みができたことは大変良かったです。

今後もチーム全体の力を向上させるために、エンジニアとして業務改善の仕組みづくりに貢献していきたいと考えています。

明日は6日目、白井さんによる「正規表現を使った記事からの株価指数の抽出」です。お楽しみに!

中川万莉奈
ENGINEER中川万莉奈

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