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スケーラブルなチームの作り方

日経IDチームの岡見です。

前回、日経IDチームのスクラム開発を紹介しました。今回は「スケーラブルなチームの作り方」という内容を紹介します。要約すると以下です。

チーム開発における属人化を解消して、引き継ぎコストをなくそう!チームのサービスレベルを安定させて、誰が抜けても機能し続けるチームを作ろう!

スケーラブルなチームとは

スケーラブルなチームとは、柔軟にメンバーの増減に対応できるチームのことです。オートスケーリングをイメージいただくと分かりやすいです。以下のような特徴を持ちます。

  • 急なお休みがあっても、他のメンバーが業務を引き継げる
  • 新しいメンバーはすぐに開発に着手できる
  • 既存メンバーが離脱しても引き継ぎ業務が発生しない
  • 有休は、好きな時に好きなだけ取得できる。1週間でも1ヶ月でも取得可

少なくとも2人以上のメンバーがどの業務も遂行できれば、スケーラブルなチームを作ることができます。つまり、属人化の解消によって実現できます。

チーム開発における3つの属人化

属人化とは、特定の業務を特定のメンバーしかできない状態のことを指します。チーム開発における属人化は、大別すると3つあると考えています。

  1. ワークフローの属人化
  2. 業務知識の属人化
  3. 役割の属人化

これらの属人化は、業務知識や役割をシェアすることで、解消できます。それぞれどのように解消しているかに具体的に説明します。

ワークフローの属人化の解消

ワークフローの属人化は、例えば、PRレビューがあります。当初、必須レビューアーの導入を検討しましたが、以下の理由で、導入しませんでした。

  • お休みやMTGの影響で、リードタイムが長くなる
  • 必須レビューアーになるための要件定義
  • 必須レビューアー離脱時に誰を必須レビューアーに昇格させるか問題

代わりに、全員が全員のPRレビューをする相互レビューの仕組みを導入しました。2名の承認で、PRをマージできるルールにしています。

理由は、必須レビューアーがお休みやMTGで忙しい場合、進捗に影響が出るからです。特定のメンバーに承認権限を限定してしまうと、単一障害点を作ることになります。このため、承認者がボトルネックにならないようにワークフローを設計しています。

業務知識の属人化の解消

業務知識の属人化は、例えば以下のようなことです。

  • 認証認可などの業務ドメインに関する知識
  • プロダクト仕様に関する知識
  • 外部設計、内部設計に関する知識
  • プログラミングに関する知識
  • 他チーム、他部署とのコミュニケーション方法に関する知識

あの人しか知らないといった業務知識の属人化は、その知識を共有する機会を設けることで解消できます。日経IDチームで行なっている取り組みは以下です。

業務知識の共有

こうした取り組みは「多くのメンバーの時間を拘束するためリソース効率が悪い」という意見があります。得意な人が得意なタスクを進めた方が早くタスクを消化できるから、というのが理由です。一方で、任意の業務を遂行可能なメンバーが複数人いれば、引き継ぎ業務をなくすことができます。実際、日経IDチームでは、メンバーの退職による引き継ぎがありませんでした。

業務知識を共有する取り組みは、長期的に安定したベロシティと対外的なサービスレベルを維持します。この種の属人化を解消する上で大切なことは、業務知識を個人ではなくチームに残していく、ことを意識することです。

役割の属人化の解消

役割の属人化は、リーダーやファシリテーターといった役割が特定のメンバーに集中しやすいということです。この属人化の解消は、難しい問題です。しかし、プロジェクトごとにメンバーの役割を変更することで対処できます。

日経IDチームの中では、複数のプロジェクトが同時進行しています。チームリーダーが、全てのプロジェクトのリーダーを担当するとキャパオーバーの懸念がありますし、離脱時の影響も甚大です。このため、いくつかのプロジェクトのリーダー業務は、チームリーダーとは別のメンバーにアサインすることで、役割の属人化を緩和させています。

チームメンバーの一人ひとりがリーダーシップを発揮する体制をシェアードリーダーシップと言います。メンバー全員が、臨機応変に自身の役割を変えることができれば、環境変化に柔軟に対応できるチームが出来ます。

スケーラビリティがもたらす未来

チーム開発における3つの属人化を解消すると、メンバーの入れ替わりに柔軟なチームが出来上がります。このようなチームになると、業務量に応じて、メンバー数の調整も可能になります。また、1つ1つのチームがスケーラビリティを獲得すれば、人事異動に柔軟な組織になります。

これにより、従業員の意向に沿ったキャリアパスの実現やビジネス環境の変化による異動も容易になります。これは、組織がダイナミック・ケイパビリティにおける人的リソースの再配置を可能にした、と言えます。

言い換えると、チーム開発における属人化の解消は、企業が環境変化に応じて自身を変えていく能力を獲得するということです。

まとめ

スケーラブルなチームを作る上で大切なことは、意思決定をチームに委譲することと属人的な役割・業務をなくすことです。これが実現すると、引き継ぎ業務がなくなり、長く機能するチームが出来ます。

チーム間で人の往来が自由になれば、今まで以上に色々な役割やタスクを経験することができ、従業員の能力を広げる機会も獲得できます。

スケーラビリティの獲得は、組織と従業員にとって、メリットがあります。まずは、属人化の解消から始めて、変化に強いチームを作ろう!

岡見慧
ENGINEER岡見慧

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